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ロサンゼルスの匂い [ロサンゼルス]






北米には何度か行っているが、おもにケンタッキーのルイビルという田舎が多い。

というのも仕事上の出張で行くので、仕事に関係のある場所にしか行けるはずもないからだった。

ケンタッキー以外のアメリカと言えば、サンフランシスコの南方にあるフリモントかデトロイト。

ニューヨークやシカゴなど、行ってみた~いところには行ったことがなかった。

しかし、数年前に海外出張でたまりにたまったマイレージを思いっきり使ってやろうと、ロサンゼルスに行ってきた。

なんでロサンゼルスかというと、わたしの好きな作家がロサンゼルス出身で、小説や随筆にいきつけの安酒場や、住んでいたドヤ街のことが書いてあって、それがすべてロサンゼルスに現存するというから、「ぜひ、この目で見ておきたい」と思ったのだった。

空港からバスと地下鉄を乗り継いで、ロサンゼルスのダウンタウンに近づいてくると、例の丸ビルが3~4棟の高僧ビルの真ん中から頭一つ突き出て見える。

「あぁ。ロサンゼルスだ」と思う。

いままで散々映画やテレビで見てきたとおりのロサンゼルスの風景だ。

さて、フィゲロアだったか、ダウンタウンの中心街で地下鉄から降りて、フラワー通り沿いにあるホテルを目指して歩いていると、空気からふと匂うものがある。

なんかの拍子に、ふと匂ってくる。おしっこの匂いだ。

少しくたびれた歩道を歩いてると、ビルとビルの隙間からスエットパンツの足が突き出している。

見ると黒人のおばさんである。

どうやら、このビルとビルの隙間を住処にしているらしい。

ロサンゼルスの歩道には、この黒人のおばさんのようなホームレスがところどころに住んでいる。

おしっこの匂いは、おそらくホームレスの人が路上で用を足すからだろう。

東京でもホームレスと言わずとも、夜中などには酔っぱらいが立ちション、ゲロなど大いにやるがロサンゼルス程匂わない。

これは、ロサンゼルスの空気がカラっと乾いているので、匂いが空気に交じらずモロに鼻腔を直撃するからだろう。

オシッコの匂いを含んだ爽やかなロサンゼルスの空は抜けるように青かった。



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